自分は絵を描く以外には取り柄の無い人間です。しかしながら絵を描く為には集中力を極限にまで高めたり、ネタを探して日常の中に微かな「何か」を求めるような事を常にやっておりますので、普通に生きている方々には視えないものが視えたり、行けないところに行ってしまう事がまま有ります。
先日、「花みずち」と言うタイトルの作品を上げました。これは神様からの依頼で描いたものです。自分にとっても貴重な経験となりました。
みずちとは、漢字で書けば「蛟」。大蛇の姿で語られる事が多い、小川や沼などの水辺の神様です。
自分は多感な小学生の頃を岩手県、青森県で過ごしたせいか、日本古来のアニミズム的なものに対して多少の親和性と言うか嗅覚が有るようです。
今回の作品「花みずち」は、神様からの依頼で描いたものでは有りますが、当然契約書が有る訳では有りません。報酬が有る訳でも有りません。かつて洞窟に住んだ祖先が神様を描いたように自分も描いたまでです。
流石神様は絵描きを使役するのが上手いなと感心しましたが、一方で自分が気付かなければこの神様に気付いた人は居たのだろうか。一体この神様はどれだけ待ったのだろうと考えますと、自分が気付いてあげられた事は僥倖であったように思います。
絵描きは世の中では何かと生きにくい生きものです。その苦労があまり報われる事も有りません。しかしながら、今回神様の依頼で作品を描いた事で、少なくとも日本の神様達にはいくらか名が知られたのではないかと密かに期待しているのです。