実はこの一週間近く、酷い眩暈で
絵が描けない状態だった。眩暈や
立ち眩みは絵描きにとっては日常
茶飯事。しかし、大抵一時的なも
のである。脳の異常だったりすると
致命的かも知れないので、ふらふら
しながらも耳鼻科医に出向いて看て
もらった。結果、眩暈の原因として
最も一般的かつ無難な、耳石に由来
する不調との事で、ひとまず安心し
た。
要は、耳石が三半規管の中で通常で
ない位置に行ってしまうと、平衡感
覚が狂うのである。さて、原因は判
明し、薬も貰っては来たが、すぐに
は治らない。
と言うわけで、まともに絵を描けな
い数日間が生じてしまったわけなの
だ。締切間際のこの時期に。
しかし、結果的に数日間画面に手が
入らない日々が有った事は、身体的
には良かった。この所、締切に追わ
れ苛々する毎日で、明らかに神経が
疲労し、いっぱいいっぱいだったの
だ。
強制的に絵が描けない日々が有った
お陰で少し疲労が取れたようで、今
日はまだふらふらしつつも画面に向
かった所、相当に良いパフォーマン
スを発揮出来た。まあ、途中が良く
てもどう仕上げるかが問題なのだ
が、今日の作業はどうだ、見たかと
言いたくなるぐらいの会心の仕事が
出来たのであった。
結果的に酷い眩暈は、絵の神様が少
し休めと言ってくれたのだろうと
思う。
要は、オーバーヒート気味だったの
でサーキットブレイカーが効いたよ
うなものなんだろう。
人間はなかなか良く出来てるなあと
改めて思った。