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シノワズリ

シノワズリとは仏語で東洋趣味の事で、フラゴナールやブーシェ等が有名。我が敬愛するアングルも「グランドオダリスク」や「トルコ風呂」等、シノワズリの作風で色々描いている。ちなみにアングルの「トルコ風呂」はソープランドでは無く、トルコの王宮の女性達の入浴の様子を想像で描いたものである。マイセンにもシノワズリのシリーズが有る。オペラ、トゥーランドットも中国、北京が舞台だ。

先日「マルコ・ポーロの冒険」を観た。例によってゲイリー・クーパー主演のハリウッド映画である。1938年の作品。大変面白かったが、同時に色々思う事も有った。
マルコ・ポーロは中国へ旅して東洋文化を西洋社会に伝えた商人で冒険家。そしてプレイボーイ。(劇中ではそういう描写である)様々な危機を、彼のモテによって打開していく様は、まあ映画だからなとも思うが、ある意味「島耕作」的で、意外な説得力が有る。
舞台となるのはフビライの時代の中国だから元の時代。この頃の元は世界中の富と文化の集まる先進国家であり、最強の帝国であった。この元の描写がなんとも自由で面白い。それなりに安く作っては有るのだが、まるでスターウォーズだ。次は何が現れるのかとわくわくしてしまう。
現在、マルコ・ポーロの映画を創ろうとすれば、大変だろう。お金もかかるし、考証も大変だ。そして頑張って創っても、ラストサムライみたいにその国の人々から観るとかなりめちゃくちゃで有るに違いないのだ。(ラストサムライはあれはあれで面白い。事実で無いだけの話だ。)
ヴェネチアの商人をゲイリー・クーパーが演じるのも変だが、この時代の映画には、細かい事にこだわらず面白ければそれで良いと言う勢いがある。
絵を描くにあたって、ネタを集め取材、描写する事は大事だが、もっと大切なのは自分の絵を描く事だ。
この珍妙だがダイナミックな愛すべき作品を観て、そう思った。
蛇足だが、チョイ役で出演しているラナ・ターナー(この時点では無名)が必要以上に綺麗だった事を記しておこう。

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